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(バリアフリー)
バリアフリー
 「バリアフリー」は既に日常的に耳にする言葉になっているが、だれもが支障なく生活できる社会や街の実現には多様なアプローチが必要だ。先ごろ開かれた鹿角市社会福祉大会の意見発表で耳にした、障害者をサポートするボランティア団体代表者の言葉は印象的だった。

 「バリアー(障壁)は一人ひとり違う。それをなくすのがバリアフリー。本当に困ってみないと何が必要かは分からない」。バリアフリーを考える上でのスタート地点だと感じた。

 「障害を持つこと、年をとることがどういうことなのかは、体験してみなければ分からない。本当に困っていることを理解し、サポートすることがバリアフリー実現の基本」。

 県内で20数年前に提唱された「黄色いハンカチ運動」は、困った際の意思表示に黄色いハンカチを振ろうという趣旨だった。福祉団体が視覚・聴覚障害者や車いす利用者の団体に協力を呼び掛けた。それぞれ「声を出したり、書いたりして意思表示できるが、他の団体にとっては必要だろうから」と賛同の意は示した。だが運動を展開した1年間で、黄色いハンカチが実際に振られることはなかったという。

 「障害者、高齢者にとってのバリアー」を考え始めるところに、既にバリアーは存在する。だれにとっても困ることは何か、じっくり周囲を見渡して考えてみたい。(鹿角支局)

(12月12日/秋田魁新報より)



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