介護保険法の施行に伴い、特別養護老人ホームなど介護保険施設で入所者の体を縛るなどの身体拘束は原則禁止されています。秋田県身体拘束廃止協議会は一層の徹底を図るため、独自に「身体拘束ガイドライン」を策定、適正な施設運用を呼びかけています。
ガイドラインでは、痴ほう症の高齢者らをベッドや車いすに縛り付けたり、保護具や薬物で行動を抑制するなど12項目を身体拘束と定義。身体拘束は人間としての尊厳を侵すだけでなく、入所者の痴ほう進行や身体機能の低下につながり、快適なケアを受けられなくなります。
このため、重点方針として「介護施設全体での取り組みの明確化」「施設全体での検討、協議」「介護サービスの充実と施設環境の整備」「やむを得ず身体拘束する際に経過や手続きを定めた取扱要領の作成」「やむを得ず身体拘束する際の入所者や家族に対する開示、共有化」の5点を挙げています。
また、意識啓発対策として、施設職員や入所者などからの相談に応じる窓口を県社会福祉協議会内に設置したほか、本年度、身体拘束廃止への理解を深めてもらうため入所者の家族を対象とした講習会の開催を盛り込んでいます。
施設関係者からは「身体拘束をしなかったために起きる事故が不安」という戸惑いの声も根強く、今後の施設側の取り組みが注目されます。
(8月8日/秋田魁新聞より) |