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(高齢者)
社説 徘徊高齢者対策
「通信機器にもっと目を」
高齢社会の進展に伴い、痴ほう症の高齢者が増えている。家族にとって気掛かりなのは前触れもなく徘徊することだ。事故に巻き込まれる危険性もあり、家族の気苦労は想像を絶するものがある。

高齢者が行方不明になった場合、地域ぐるみで捜索、保護しようと関係団体が連携体勢を取りネットワークを構築しているケースはある。しかし、高齢者の居場所を瞬時に把握できる通信機器によるシステムを導入する自治体は県内にまだない。

徘徊高齢者を通信機器で探し出すシステムは数年前から開発され始めた。PHS(簡易型携帯電話)に加え、カーナビなどに使われるGPS(全地球測位システム)を利用したものも登場。こういったシステム導入を促進しようと国が始めた補助事業が「徘徊高齢者家族支援サービス」。介護予防・生活支援事業の1メニューで、事業費の負担割合は国50%、県と実施主体の市町村が各25%となっている。

しかし、秋田県での導入の実績はゼロ。秋田県長寿社会課が昨年、市町村の担当者に聞き取り調査した結果、プライバシーの問題などから痴ほう性高齢者の実体把握が困難で、利用しやすいシステムの見極めも難しいことが理由として浮上したという。

秋田県では秋田市社会福祉協議会が唯一、独自事業で取り組んでいる。GPSを活用している大手警備会社と契約し、加入料金などを補助。利用者は月500円の基本料金を負担する内容だ。こうした身近な施策に行政はもっと目配りするべきではないか。
(7月6日/秋田魁新聞より)



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