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(就労支援)
福祉観と労働観の転換を
 「プロップステーション」は「チャレンジド(障害者)はもちろん、全ての人が持てる力を発揮し、支え合って構築するユニバーサル社会」を産官政学民の連携によって創造することを目標に活動。「障壁の除去」というバリアフリーの考え方に対して、ユニバーサルは「バリアを取り除くだけでなく、その人が力を発揮する、つまり社会参加や就労を果たすまでを見据えた構造改革を行う」という意味を持ちます。

 私は障害者への支援制度に関する厚生労働省の検討会に出席していますが、「介護の量」についての意見交換は活発ですが、「介護を得ながら働くにはどんな政策が必要か」という議論にはなりません。働く意欲を持つ人を仕事から遠ざけ、弱者として福祉の対象にしてしまうという福祉観からの脱却を日本は果たさなければと思います。

 精神障害を持つ人が本当に必要なのは「画一的な働き方を得るチャンス」より、体調と精神状態のいいときだけ働ける「そのひとにあった働き方の創出」だろうと思っています。これは高齢者、育児や介護をしながら働きたい人、リストラに遭った人など、全ての人に当てはまる考え方です。

 人は皆、社会を支える側に回れる時と支えられる側に回って生きる時の両方があります。バリバリと働ける人のシステムと、ゆるやかに働くことが必要な人のためのシステムの両方が同時に存在し、柔軟に行き来のできる社会を実現することは夢物語ではないと思っています。

(10月5日/朝日新聞より)

 ◇竹中ナミ 神戸市に本部を置く社会福祉法人「プロップステーション」理事長


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