秋田市の美容師が、高齢者や障害者を対象にした「移動美容サービス」を始めました。2トントラックの荷台を“美容室”に改造、料金も通常の8割程度で、出張費は県内どこでも無料。県生活衛生課によると、このような移動美容室は県内では初。自分自身が身体障害者という境遇にありながらも、「髪をきれいにしたい」という女性の永遠の願いを手助けしています。
移動美容サービスを始めたのは、秋田市新屋松美ケ丘で美容室を経営する高橋テル子さん。偶然依頼された出張サービスでパーマをかけた女性から、満面の笑みを浮かべて感謝されたのをきっかけに訪問サービスを考え始めたといいます。会社員だった夫が早期退職したのをきっかけに、サービスの実現を本格的に検討。移動美容に取り組んでいた美容室を視察するなどして勉強を重ね、8月からサービスを開始しました。
トラックを改造し、車いすに乗ったままでも利用できるよう脱着可能なスロープを取り付けたほか、取り外しできるいす、鏡、洗面台、プロパンバスを使った湯沸かし器、エアコン、１５０リットルが入る水タンクなどを設置。料金は、通常の8割ほど。県内どこに出向いても同一料金で出張費は取らない。高橋さんのほか、運転手兼ヘルパーの男性や美容師の女性で月曜から金曜の週5日、注文に応じてサービスを行っています。
高橋さんがサービスに意欲的なのは、高橋さん自身、交通事故で左腕以外の手足に重傷を負った境遇にあるため。「体の不自由な人の気持ちはよく理解できる。健常者は、気持ちは理解しているつもりでも、細かな配慮は行き届かない」と話しています。
（11月26日／秋田魁新報より） |
