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(バリアフリー)
ガクちゃん先生の学校通信「バリアフリー」
〜生徒の気持ち受け止め発信
秋田市立土崎中 三戸 学教諭
  みなさんは「ハートビル法」をご存じでしょうか。高齢者や身体障害者が円滑に利用できる特定建物の建築を促進する法律です。今までは特定建物は病院、劇場など公共性の高い建物が対象でしたが、今年度から学校や事務所、共同住宅などもバリアフリー化の努力義務の対象となりました。

 客観的に考えると、僕にとって学校はバリアが多いところかもしれません。なぜなら、学校中を自分一人で自由に移動できません。だけど、そのことに余り不便を感じずに仕事ができているのは、場面場面に応じて周囲が支えてくれるからだと思っています。例えば、授業。学校は3階建てで、2階、3階の教室で授業をする場合、授業の前に数学係の生徒が僕を迎えに来ます。授業の道具を持ってもらい、生徒と一緒に教室へ向かいます。男子生徒の肩に腕を回し、もう片方の手は手すりをつかみます。一段ずつ僕の歩調であがっていきます。

 最近、「スキンシップが大切」と言われています。毎日、僕はスキンシップをしています。(身長が高くなった)(肩幅が広くなった)…と生徒の成長を感じます。生徒の肩をかりての階段の上り下りは、生徒とコミュニケーションを図る絶好の機会です。生徒から「今日、歩くスピード速いね」「先生、疲れているの?いつもより遅いよ」と話しかけられることもあります。

 土崎中3年目。生徒ににとっても、日常生活の一部になっています。階段の前にたっていると、「先生、肩!」と言って、近寄って肩を差し出す生徒もいれば、「ゴメン…今急いでいるの」と言う生徒がいます。困っている人を見かけたら、気軽に声をかけることができる人間に成長してほしいと期待しています。

 最近、「エレベーターやスロープがあったら、便利なのにね」と数人の生徒が話していました。学校内の階段などを生徒や同僚の先生方の支え合いで乗り越えていくことは、大切なこと。同時に、学校施設のバリアフリー化を考えていく必要性があります。

 土崎中に赴任してまもなく、玄関にスロープがつきました。そのおかげで、僕は自由に行き来できるようになりました。それ以来、玄関のスロープはケガをした生徒、荷物を運搬する人、高齢者などに幅広く活用されています。まさに、ユニバーサルデザインではないでしょうか。今後、一教師として、生徒の気持ちを受け止めながら、学校内のバリアフリー化について発信していきたいと考えています。

(12月10日/朝日新聞朝刊より)



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