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(事故防止)
死亡事故が激増、高齢者の保護に本腰を
 秋口に入り、交通死亡事故が県内で激増。県警は約1年ぶりに「交通死亡事故多発警報」を発令し、交通要所での監視や巡回、スピードや飲酒運転の取り締まりに関して安全運動並の態勢を継続している。

 急増の特徴のひとつがお年寄りの割合の高さ。9、10月に発生した21件中、半数強の12件が65歳以上の犠牲者。ふたつめの特徴は、発生時間帯が午後5時から6時台の「薄暮」に集中している点。3つめは、加害者側の事故原因で「前方不注視」であること。

 秋田県の高齢化率は25.7%。国立社会保障・人口問題研究所の「都道府県の将来推計人口」によると、平成22年には28%と全国トップに。交通死亡事故の犠牲者の半数以上がお年寄りと言う実態を考えるならば、県警と行政当局は今以上に高齢者を事故から守るための対策に本腰を入れるべきであろう。

 自動車や自転車とは完全に区分けした歩道の整備は言うまでもなく、お年寄りも見やすい道路標識の整備など、高齢化社会にふさわしい道路交通の構築を急ぐべき。全国的な統計だが、外出手段に「徒歩」を挙げるひとり暮しの60歳以上は71%に昇る。特に高齢化率の高い地方では、お年寄りが買い物や通院時に安心して歩けるためにも生活圏の主要道の整備は欠かせない。

 交通基盤の整備と共に、お年寄は視力、聴力の衰えに加え、身体能力も本人が思っている以上に低下している認識をお年寄と運転者側の双方が強く持つべき。迫り来る自動車を確認後、渡りきれるはずだと判断しても、お年寄の体の動きは若いときとは全く違う。

 県警には、加齢と共に衰える身体能力を認識するための運転者用のシミュレーション装置が備えられているが、歩行者向けの装置はまだ。県警は地域課、交通課の職員を中心に出前型の交通安全教室を開催し、安全意識の啓発に努めているが、体感することでしか得られないものがある。

(10月21日/秋田魁新報より)



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